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【獣医師執筆】季節の変わり目の体調管理!犬猫が秋に気をつけたい室温管理と花粉症について

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【獣医師執筆】季節の変わり目の体調管理!犬猫が秋に気をつけたい室温管理と花粉症について

台風シーズンも終わり、秋晴れの季節に入りました。その一方で、今度は気温が下がり、朝晩が冷えこみやすくなります。体調管理にも注意していきたいところですね。でも、具体的にどのように気をつけたら良いのでしょうか?

今回は、室内犬やねこちゃんの秋の生活環境について解説いたします。 

■普段の生活の中で気をつけるべきことは?

季節の変わり目の体調管理!犬猫が秋に気をつけたい室温管理と花粉症について
出典:https://www.shutterstock.com/

この時期は寒暖差が激しくなり湿度も一気に落ちて乾燥しがちになるため、気温と湿度は毎日チェックしておきましょう。 

特に晴れて雲のない状態が続くと温かい熱が外に飛んでいき、特に明け方5~6時頃に冷え込みがちになります。これを「放射冷却」といいます。

そのため、冷え込む時間帯にはよく気を配ってエアコンの設定を少し高めにしておくなど対策してみてください。

 

■気温と湿度は何度くらいが最も快適?

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気温

快適と感じる温度は動物種によって大きく異なり、犬の代謝に大きな負担をかけずに体温を維持できる気温の幅は以下のとおりと言われています(※1)。

・短毛種(ラブラドール・レトリーバーなど):20~25度

・長毛種(トイ・プードル、シー・ズーなど):15~20度

・アラスカン・マラミュート、ハスキーなど:10~15度

ちなみにねこちゃんの場合は正確に実験されたわけではありませんが、30~38度でも問題なく体温を維持できると推定されています(※2)。

ねこちゃんの祖先は元々気温が高い地域に生きていた動物なので、わんちゃんよりも高めですね。その分、寒さに関してはわんちゃんよりも苦手かもしれません。

湿度

わんちゃんやねこちゃんにとっての快適な湿度に関する報告はあまりないのですが、学術的には30~70%の間を維持するのが良いと言われています(※3・4)。

ただし筆者の経験ですが、乾燥肌やドライアイの場合は湿度を高めに、梅雨の時期に悪化しやすいようなジクジクした皮膚病を抱えている場合は湿度を低めに設定すると比較的改善しやすい印象があります。

起床時間が6時よりも遅い日や飼い主さんが留守にするときは、エアコンのタイマー設定をONにしておくと、寒さが抑えられて生活が楽になるはずです。

室内犬やねこちゃんが寒がりな場合は、特に考慮してあげてください。

■風邪と似ている!秋の花粉症の症状

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花粉症というと春のイメージが強いかもしれませんが、実は秋にもあります。

秋の時期に増えてくるのがブタクサやヨモギ、カナムグラなどといった植物の花粉で、一部のわんちゃんやねこちゃんも反応してしまうことが知られているのです。

これらの植物は雑草の生い茂る河川敷や空き地、道端などによく生えていますので、お散歩コースで生い茂っている植物の種類をチェックしてみましょう。

 

■花粉症の症状はどんなもの?

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人と同じような涙目・結膜炎・くしゃみ・鼻水もありますが、皮膚に影響が出ることも多く、特に目や口の周りなどの顔、脇、お腹、内股、肛門のまわり、肢先などが痒くなって異常に舐めたり掻いたりしやすくなります。

1年を通して痒みや皮膚病の症状がある場合でも季節によって悪化することがありますので、特に気をつけて見てあげてください。

 

■アレルギー・花粉症の対策法

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元々皮膚病でお困りの場合、お散歩にいく際に犬用の靴を履かせたりお洋服を着させたりすることで、直接花粉に触れないようにある程度ガードできます。ただし、お顔や耳、お尻まわりなど全てはカバーできないため、できるかぎり原因となる植物に触れさせないようなお散歩コースを考えてあげましょう。

いつも通る道に花粉症の原因になる植物がある場合は、お散歩コースを変更するだけでも症状が緩和されることがあります。

そのほか、お散歩からご自宅に戻ってきた際に、玄関の前でお洋服を取り外したりブラッシングしたりするなどして、できるだけ花粉をお家の中に持ち込まないようにすることも大切です。

また、アレルギー反応は目の周りに出やすいため、犬用のサングラスをかけてガードする方法もあります。

 

秋の対策ということでさまざまな視点からお伝えしました。

ぜひ参考にしていただければ幸いです!

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考文献】

※1 Thermoregulation and housing. Nutritional guidelines for complete and complementary pet food for cats and dogs. FEDIAF 2019.

※2 Judith LS, Candace CC. Environmental aspects of domestic cat care and management: Implications for cat welfare. SchientificWorldJournal 2016; 2016: 6296315.

※3 Maintain animals in study areas. UCLA Research administration (Research safety and animal welfare) 2017.

※4 Environment, housing, and management. Guide for the care and use of laboratory animals, 8th edition. NRC 2011. 

【画像】

※ Africa Studio,Rasulov,Backgroundy,wasanajai,Elena Breus,eva_blanco / Shutterstock

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