※2024年4月19日情報更新
「めっぱちょしたらわや!」……筆者が青春時代を過ごした北海道のある地方の方言で、ものもらいを触っては駄目ですよ、という意味です。人はもちろん、犬猫も「めっぱ」を触ると悪化してしまいます。今回は、ものもらいなどの「目のできもの」についてのお話です。
※ 記事には患部の写真を含むため
■できものの診察は眼科?皮膚科?
まず、どこからが眼科で扱うできものか説明します。一般的には、目の"ふち”から眼科です。"眼けん(まぶた)部”は、皮膚科で扱うことが多いです。たとえば、下記の2つの症状は、皮膚科での対応になります。
■目のできものはなぜできるの?
目のできものの原因のひとつとして、マイボーム腺の位置が関係しています。上図は、犬のまぶたの拡大図です。まつげの少し奥の、ポツポツ見えるところにあるマイボーム腺は、皮脂腺(角膜に油分を出す分泌腺)として目を乾燥させない働きをしています。マイボーム腺が、炎症を起こしたり、分泌物が詰まったり、腫瘍化したりして、できものができます。
犬は良性のものが多く、猫は悪性のものが多いと報告されています(※1)。また、犬はマイボーム腺由来のできものが、一般臨床では多数を占めている印象です。
■犬の目の「できもの」の種類
(1)ものもらい
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とも言います。マイボーム腺やツァイス腺(皮膚に脂肪を分泌する腺)などが細菌感染を起こし、化膿し腫れたものです。赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。抗生剤やステロイド剤などの点眼薬、もしくは全身投与が必要なケースも多いです。
(2)霰粒腫(さんりゅうしゅ)
マイボーム腺は管(くだ)を介して油分を目の表面に分泌(供給)しますが、その管がふさがり、分泌物が溜まり腫れたものが霰粒腫です。麦粒腫と見た目は変わらないこともありますが、眼けんをめくると、結膜に乳白色の皮脂の塊が確認できることがあります。麦粒腫と併せてマイボーム腺炎と言うこともあります。
(3)マイボーム腺の腫瘍
犬の場合、良性のマイボーム腺腫(マイボーム腺腫、マイボーム腺上皮腫など)がしばしば見られます。良性ですが、腫大すると角膜に傷がつくので、切除することを筆者はおすすめしています。マイボーム腺の悪性腫瘍は、稀な腫瘍です。
■猫の目の「できもの」はどんなものがある?
犬に多く見られるマイボーム腺由来のできものは、猫にはあまり見られません。たとえば、猫の場合は「肥満細胞腫」と言うできものができることがあります。この腫瘍は、皮膚や内臓(脾臓、消化管)に発生します。肥満細胞
猫において目のできものを見つけたら、直ちに病院を受診して下さいね。
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【参考】
※1 藤井 裕介(2015)『眼疾患を知る<7>』Vet I , P41-47
※2 Krehbiel JD, Langham RF(1975)"Eyelid neoplasms of dogs.”American journal of veterinary research
【画像】
※ Anastasiia Vasenina / Shutterstock
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