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【獣医師執筆】わんちゃん向け!秋の旬な「オススメ or 注意したい食べ物」とは

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】わんちゃん向け!秋の旬な「オススメ or 注意したい食べ物」とは

“味覚の秋”と呼ばれるように、秋には様々な食材が旬を迎えます。しかし食材の中には、人間にとっては美味しいものでも、わんちゃんにとっては有害となるものもあります。

そこで今回は、秋が旬の食材の中で、わんちゃんにとって相性の良いものと、注意が必要なものをご紹介します。

 

■わんちゃんと相性の良い秋の食べ物3

わんちゃん向け!秋の旬な「オススメ or 注意したい食べ物」とは
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)秋刀魚

秋の味覚の代表格といえば秋刀魚ですね。秋刀魚は栄養分も豊富で、わんちゃんの食べ物としても良い栄養源になります。特に魚類の脂肪分に多く含まれる“不飽和脂肪酸”は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)など、わんちゃんにとっても有益な栄養成分を含んでいます。

ただし、わんちゃんに秋刀魚を食べさせるときには、いくつか注意点があります。一つは寄生虫などのリスクをなくすために、必ず火を通してから食べさせるようにしてください。また、アレルギーを持つわんちゃんは、アレルギー症状が悪化することがありますので、必ずかかりつけの獣医師に相談してから与えるようにしてください。

(2)サツマイモ

サツマイモは食物繊維豊富(※1)で、わんちゃんにとっても良い食材と言えます。ドッグフードでもサツマイモを原材料に使用したものは多くありますので、それだけ安全に使用できる食材です。わんちゃんは雑食とはいえ肉食に近い動物ですので、サツマイモのような食物繊維を多く含む植物系の食べ物は、あまりうまく消化ができないと言われていますが、適量であれば全く問題ありません。

ただし、多量に食べた場合には、便秘や下痢などお腹のトラブルを引き起こすことがあります。さらには、マグネシウムなどのミネラルも豊富(※1)ですので、尿路結石症を持つわんちゃんの場合は、避けた方がよい食材になります。

(3)キノコ類

椎茸や舞茸などのキノコ類も秋の味覚として知られています。これらキノコ類は食物繊維が多く(※1)、さらにはビタミン類も豊富(※1)で、わんちゃんに良い栄養源になります。ただし、一度にたくさん食べると消化不良を起こすことがあります。キノコ類を与えるときは、必ず火を通し、細かくしてから与えるようにしましょう。また、椎茸などを干したものは、マグネシウムなどミネラル類が強化され(※1)、わんちゃんにとっては尿石症のリスクになることがありますので注意が必要です。

キノコ類の中には、人間と同じようにわんちゃんにとっても中毒を起こすものもありますので、自生している種類が不明なキノコは絶対に与えないようにしてください。

 

■わんちゃんに危険な秋の食べ物3つ

わんちゃん向け!秋の旬な「オススメ or 注意したい食べ物」とは
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)銀杏(ぎんなん)

銀杏は秋の味覚として知られているだけでなく、イチョウ並木では、散歩中のわんちゃんが木から落ちた銀杏を口にする機会があるため、注意が必要です。銀杏はメチルピリドキシンという成分を含み、ビタミンB6(ピリドキシン)の作用を阻害します(※2)。

わんちゃんでの中毒の報告はほとんどないのですが、筆者の経験では、小型犬が数個の銀杏を拾い食いして中毒症状を引き起こしたことがありますので、わんちゃんには銀杏を与えないようにしてください。

(2)生の鮭(生魚)

鮭自体はわんちゃんにとって害となることはありません。逆に魚類の不飽和脂肪酸やアスタキサンチンなどの抗酸化成分など、有益な栄養成分を含む良い食材と言えます。しかし、生の鮭では、アニサキスなどわんちゃんにとって有害となる寄生虫を含んでいる可能性があるため、なるべく生のままでは与えないようにしてください。

特に秋に獲れる鮭は、輸入される紅鮭や銀鮭のように冷凍されないことも多く、よりアニサキス感染のリスクが高くなりますので注意が必要です。

(3)貝類

秋の貝類といえば、アサリが有名ですが、貝類の多くは、わんちゃんにとって消化しづらく、またチアミナーゼというビタミンB1を破壊する酵素を持っています。アサリ自体は、わんちゃんにとってあまり毒性は強くないようですが、どの種類の貝をどの程度与えても良いかははっきりしていませんので、基本的には貝類は与えないようにしましょう。

 

秋に旬を迎える食材の中で、わんちゃんにとって相性の良いもの、悪いものをそれぞれご紹介しました。しかし、銀杏のように少量でも中毒を起こすものは別ですが、ほとんどの食材は、与え方によっては、わんちゃんにとって良い食材にもなりますし、悪い食材にもなります。

個人的には旬な食材は、栄養バランスを崩さない程度には摂っていただくことは良いことだと考えています。実際に食べさせるときには、ぜひわんちゃんにとって負担にならない与え方を確認していただければと思います。

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【参考】

※1 第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版):文部科学省

※2 健常成人に発症した銀杏中毒の1例 - J-Stage

【画像】

※ Chendongshan, Nishihama, mr.chanwit wangsuk / Shutterstock

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